「たとえ明日世界が滅亡しようとも、今日私はリンゴの木を植えよう。」
ご存知の方も多いと思いますが、16世紀のドイツの聖職者、マルティン・ルターの言葉です。
それまでのカトリック教会のあり方に疑問を抱き、プロテスタントという新しい宗派を作った人なので、この言葉も多分に宗教的な意味を含んでいるとも言われますが、そこまで深く考えなくても、悩んだり落ち込んだりした時に元気と勇気をもらえるのでとても好きな言葉です
ご高齢の患者さんで「どうせもうじき死んじゃうんだし・・」とか「あと何年生きるかわからないし・・」と言って歯や義歯の調子が悪くてもそのままで我慢している方が何人かいます。
そういう言葉を聞くとちょっと悲しくなります
この世の中に生きている人はすべていずれ死にます。一日生きるということは一日死に近づくことです。
その死が訪れるのが10年後か20年後なのか、それとも半年後なのか、現在の実年齢や平均寿命からある程度の予測はつきますが、正確には誰にもわかりません。
それこそ明日世界が滅亡する、かもしれないのです。そういう意味では、その患者さんも私もみんな同じなのです。
それに、地球45億年の歴史からみたら、半年も20年も差なんてありません。
今私達の周囲にいる人達は、おそらく100年後には皆いなくなっているでしょう。
こんな風に考えていくと、なんだか生きていくこと自体が空しく、馬鹿々々しくなってきます。どうせ何やっても無駄じゃないか・・と捨てばちな気になってしまいます。
でも、ルターは「リンゴの木を植えよう。」と言います。
この言葉を思い出すと、明日のことをいたずらに思い煩うことなく今日できる精一杯のことをしよう!とポジティブな気持ちになります
さきほどの患者さんや同じようにネガティブな考えにとらわれてしまっている方が、この言葉で少しでも前向きな気持ちになれたらいいな、と思います。