昨年、歯科医師会の口腔がん検診医養成コースを受講しました。その時に習った細胞診を行う機会が得られたので、具体的な流れをご説明したいと思います。
今回、細胞診を受けた患者さんは、半年に一回定期健診にいらっしゃる60代の女性。
舌の左わきにできた口内炎がなかなか治らないというので、まずは傷の原因となりそうな周囲の詰め物や歯の尖ったところを研磨して2週間ほど経過観察をしました。
2週間後、再び診たのですが、改善した様子が見られなかったので、患者さんの同意を得て、細胞診を行いました。
講習を受けた日大松戸歯学部の病理診断科に病理組織検査を依頼するとこんなキットを送ってくれます。
手前の青い棒の先端がブラシ状になっていてこの部分で検査したい場所をこすって細胞を採取します。
それをスライドガラスに塗布してピンクの蓋の容器に入れて病理診断科に送ると調べてもらえます。
今回は3日ほどで検査結果が郵送されてきました。
結果は問題なしで、患者さんも私もホッとしました
検査は、ブラシで擦るだけなので痛みもないし時間もかかりません。
費用も保険適用なので約1000円程度です。(3割負担の場合)
以前にも書きましたが、ごく初期の悪性腫瘍と良性の口内炎などの鑑別診断は視診だけではかなり困難です。
なかなか治らない口内炎を気にしている方がいらっしゃったら、一度こうした検査を受けてみるのもいいのではないでしょうか。
口腔に限らず、悪性腫瘍は早期発見すればそれほど恐ろしい病ではなくなってきています。
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ただし、この検査はあくまでもスクリーニング検査なので、この結果悪性が疑われる場合にはより精密な検査が必要になります。
その場合は、大学病院などへご紹介させていただくことになります。