少し前の東京新聞の記事にこんなものがありました。
「口腔崩壊」とは、明確な定義はないようですが、「虫歯が10本以上あったり、歯の根しか残っていない未処置歯が何本もあったりする状態」を指します。
この記事では、東京都内の小中学校のほぼ3校に1校に口腔崩壊の児童(生徒)がいたとの調査結果がでたと書かれています。
私が学校歯科医を担当している北部小学校では、実は1学年に1人ほどこうした「口腔崩壊」の児童がいます。
最近は、社会全体に虫歯予防の意識が高まってきていることもあり、子供全体の虫歯本数はかなり減少してきています。
昨年度の文部科学省の調査では、12歳(中学1年)の永久歯の平均虫歯数は0,82本だということです。
こうした中でこのような口腔崩壊の子供がいるということは、その子の家庭環境に何かの問題があるのではないかということが疑われます。
それは、経済的な理由だったり、歯科医院を受診する時間がない事だったり、より深刻なネグレクト(子供虐待の一つ、育児放棄)の可能性もあります。
毎年、児童の健康診断に関わっていますが、報告書に書かれているのは平均の数値の推移についてだけなので、こういう少数の心配なケースに関しては、実際に一人一人の児童を診ていないと気がつきません。
歯科健診で虫歯などがあった児童には、歯科医院を受診するようにと「受診勧告書」を配布することになってはいますが、こういう口腔崩壊の児童に対しては、もう少し踏み込んだ対応が必要なのではないかと考えます。